コロナ禍が続く中で、飲食に限らず様々な企業が赤字に陥ったり、倒産の危機を迎えています。
そんな中で推進されているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
今回は、その「DX」について解説していきます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
デジタルトランスフォーメーションとは、直訳すると
「デジタル化を伴った改革」
となります。これだけではよく分かりませんね。
実際、IT企業に勤めている方ですらも、この言葉の意図をきちんと理解していない方は多いです。
「トランスフォーメーション」
「トランスフォーマー」というアニメ、もしくは映画をご存知でしょうか。
この作品には、そのタイトルの通り、「トランスフォーム」という単語が登場します。
(トランスフォームは、トランスフォーメーションの動詞形です。)
車やヘリといった乗り物がロボットに変形(トランスフォーム)し戦います。
(その他、「マクロス」というアニメでも、巨大戦艦がロボット形態に変形することを「トランスフォーム」と呼んでいます)
トランスフォーマーのポイントは、
「人を運ぶことを目的とした乗り物が、戦闘に特化したロボットに変形する」
という部分です。
このように、「全く違うものに変わる」という事が、「トランスフォーム」、つまり「トランスフォーメーション」ということになります。
DXって何が起きるの?
DXとは、先程の「トランスフォーメーション」の解説の通り、
「全く違うものに変わること」
を指します。つまり、今までとは全然違うことが起きるのです。
とは言いつつ、トランスフォーマーのように「利用目的が変わる」ということよりも、
「同じ目的のために構造がガラッと変わる」事をDXと呼ぶことがほとんどです。
DXの例 – カーシェア・レンタサイクル
DXの例として、「デジタル技術を用いて実現できた新しいサービス」を紹介します。
車を借りたい場合には、レンタカーを借りていました。
レンタカーは、予め予約した上で営業所へ出向き、また時間内に返却する必要がありました。
特に、営業時間外に貸出・返却ができないのもネックでした。
2010年頃を境に国内でも広まったのが「カーシェア」というサービスです。
駐車場の一角に車が置いてあり、スマートフォンで予約をするだけで勝手に乗る事ができます。
返却も簡単で、同じ場所に車を戻して去るだけです。
駅などに設置されているレンタサイクルも同様で、
自転車にある端末にスマホやICカードをタッチするだけで利用が開始でき、特定の場所に返すだけです。
なぜ「カーシェア」がDXなのか?
カーシェアとレンタカーも、「車を借りる」という部分では同じですが、何が違うのでしょうか。
ポイントは3つです。
- 店舗が存在しない
- 無人である
- いつでも借りれる
レンタカーに窓口があったのは、防犯目的がほとんどでした。
しかしながら、デジタル技術の進歩により、無人でも車両の安全性が確保できるようになりました。
例えば、
- GPSを用いて常に車両の位置を特定できるため、盗難対策になる
- キャッシュレス決済により、スマホだけで利用料の支払いが可能になった
- スマホを「鍵」として使うことで、鍵の受け渡しだけでなくピッキングや複製の対策になる
などが挙げられます。
これらは全て、デジタル技術の発達によって実現可能となったものです。
カーシェアのもうひとつの「トランスフォーム」
「いつでも借りれる」という部分から、「移動手段としての車」から他の価値が生まれました。
「子供(乳児)が泣いて仕方ない時に、カーシェアを使って車の中であやしている」
「カラオケがわりに使っている」
「少し時間が空いた時に、近くのカーシェアに入って昼寝をする」
などといった利用方法が増えたのです。
当初の思惑とは少し外れていたかもしれませんが、これも立派な「トランスフォーム」なのでしょう。
結局、DXって何がどうなるの?
DXとは、単に「新しいサービスを作る」という側面もありますが、
目下の目的としては「社内改革」に目が向けられます。
DXは新しくない?
DXという単語自体はここ数年で言われるようになりましたが、
それまで人の手で行っていたことが、デジタル化によって不要となった仕事はたくさんあります。
思いつく中でもかなり古い例が「電話交換手」です。
その昔、電話をかける際には人が線を繋ぎ変えることで、通話ができるようになっていました。
しかし、現在ではデジタル技術が発達したおかげで、全て機械がやってくれます。
その結果、「交換手」という仕事は無くなったのです。
電話受付、という意味での交換手はまだ存在しますが、それらもAIの進歩で不要になるかもしれませんね。
「DX」が進むとどうなる?
DXが進むことで、今まで以上に働き方が変わってきます。
例えば、今までは紙でやっていた業務はデジタル化が進みますし、
今までやっていた仕事がガラッと変わることも考えられます。
現時点では「必要」とされていた職業も、AIやIoTといった技術の進歩に伴い「DX」が進み、やがて交換手のように仕事そのものが不要になることも十分予想できます。
会社のあり方を一気に変えていくのが「DX」ですので、会社や業界によってどんどん違った進化を遂げていく事が求められます。
将来「こうなる」と言い切れないのがある意味怖いところです。
子供がDXを生き抜くためには
今の小学生が大人になる頃、DXがさらに進んでいることが予想できます。
もしかしたら、DXが当たり前になるのかもしれませんし、あらかた終わっているかもしれません。
どちらにしても、現時点で一般常識として身につけるべきスキルが不要になることも考えられます。
もっとも重要になるのが「変化についていけること」です。
DXとプログラミング
プログラミング教育も、このDX教育の一環と言えます。
どんなに「変革」と言っても、知識がなければ起こすことはできません。
変革を起こすためには、今までにないアイディアも必要ですが、
- 現状を理解すること
- 物事を分析すること
- システムとして構築すること
が必要です。
プログラミング学習は、これらの能力を伸ばすための学習要項ですので、
将来活躍するためにも、これらの学習は重要と言えます。
プログラミング学習のキモは「読解力」ですので、学校などで学習するプログラミングだけでなく、同等に国語の基礎学力も身につける事が大事です。
DXとDX人材
2021年現在でも、DXを進めるための人材はかなり不足していると言われています。
DX人材は、その名の通りDXを進めるための人材で、
「トランスフォーメーション」を進める中心人物となります。
簡単にいうと「何でも屋」で、全てを包括して判断・分析しプロジェクトを進める人物となります。
実際のところ、経営・技術・営業といったスキルを全てもったパーフェクトな人間はなかなか存在しませんので、
必要なスキルうちのうち、いくつかを身につけるだけでも十分でしょう。
今現在、中学生のお子様が就職する5年〜10年の間は、このDX人材が充足しているとは考えづらく、
プログラミングだけでなく物事を分析するようなスキルをもった人材が求められることは変わらないでしょう。
さいごに
この先数年の間は、「DX」という単語をよく聞く事になると思います。
あまり気にしすぎても仕方ありませんが、この単語が無くなったとしても、10年後にはとても重要になる事でしょう。
単語の難しさに囚われずに、「変化についていける」ということに重点を置くことで、より柔軟な教育を進める事ができるのではないでしょうか。