本稿では、2020年から必修化されたプログラミング教育についてお話しします。
文部科学省による公表資料および、公開されている教育の手引きを元に解説を行っていきたいと思います。
プログラミング教育の目的
プログラミング教育の1番の目的は、「問題解決能力」を育むという点です。
みなさまが思い浮かべる「学校の勉強」ってどんなものだったでしょうか?
机に座って、先生の板書を書き写す。そんな授業風景が思い浮かびませんでしょうか。
2002年より始まった「ゆとり教育」が始まりましたが、
それまで主流であった「詰め込み教育」と比べてもあまり変わっていないと言えます。
「プログラミング的思考」を育てる
プログラミング教育において、このカリキュラムのゴールは
「プログラミングができること」
ではなく、
「プログラミング”的思考”ができること」とあります。これはどういうことなのでしょうか。
今の学校教育はどうなっているのか
一般的に、学校のテストには答えが存在し、事前に授業で教えている方法を用いて答えたものを正解とします。
この方式は一見わかりやすく、点数も見えやすいです。
一方で、このような話を聞いたことはありませんでしょうか。
違う答えは「NO」
ネットで話題になっている「どうしてバツになったのかわからない」問題の一例です。
一方で、国語の問題でもこのようなものを見かけます。
算数の問題を2点挙げましたが、他にもたくさんの例がネットに晒されていることが分かるでしょう。
さて、これらの「問題」に共通していることがあります。
- 教えた手順を少しでも間違っていると不正解とした
- 教えていないことをしているを不正解とした
- 教えていないことを使うと不正解とした
つまり、「問題を作成した先生と全く同じ回答」が正解で、それ以外は不正解となるのです。
なぜこうなってしまったのでしょうか?
答えは割と簡単で、昨今の教育が「詰め込み教育」の延長線上にあるからなんです。
「ゆとり教育」が本格的に導入されてから20年近く経ちましたが、教育のやり方はあまり変わっていないように思えます。
実際のところ、2020年現在に活躍している20代の小学校の先生はゆとり教育を受けた子供たちであることを考えると、むしろ悪化したのかもしれません。
これは、学校の先生に全ての責任があるわけではありません。
このように「教わったことをそのまま覚えること」と「覚えたことをそのまま書き出すこと」が今の学校教育であり、そのループから抜け出せていないことがそもそもの問題ではないのでしょうか。
プログラミング教育で最も必要なこと
さて、少し本題から逸れてしまいましたが、プログラミング教育にて育まれるべき力についてお話しします。
プログラミング教育で教えるべきは「プログラミング”的思考”」であると述べました。
この”的思考”は何を表しているのでしょうか。
ポイントは「問題を解決する能力」
今の学校教育における問題点は、「全く同じことが正解」となってしまっていることです。
それに対して、プログラミング教育では「正解にたどり着くための手順」を問うことになります。
つまり、
「答えにたどり着くための手順を”覚えさせる”」
ではなく、
「答えにたどり着くための手順を”考えさせる”」
ような教育が必要になります。
算数の問題では計算方法を一から教えると思います。
一方で、プログラミング教育では答えと手段の一部を提示した上で、
それにたどり着くための手順を考えさえることになります。
算数とプログラミング”的思考”
例えば、先ほどの問題から考えてみましょう。
くるまが5だいとまっています。
先ほどの問題です。
9だいくると、ぜんぶでなんだいに なりますか。
現在の教育要項では、おそらく5台と9台であることを主軸に置き、
足し算であることを説明します。子供たちは、ここから「足し算である」ことを覚えるのでしょう。
プログラミング的思考を考える上で最も重要なのは、この「足し算である」ことをまずは導き出させることから始まります。
子供が「足し算」という概念を知らなかったら?
未就学児の子供を考えてみてください。
足し算という概念を知らない場合には、どうやって計算を行うのでしょうか。
実際の駐車場をイメージして、考えてみましょう。
はじめに駐車場に5台とまっていて、あとから9台来ました。
全て停車した状態で数えたところ、14台でした。
このように、記号を一切使わずに足し算の計算をすることができます。
もちろん、これは考え方の一例ですし、実際の未就学児はもっと面白い答えを出してくれるかもしれません。
このように、単純に「足し算である」ことを教えずに、「これは足し算なんだ」と気づかせることがプログラミング教育のキモになります。
簡単に考えてはいけないプログラミング教育
プログラミング教育の本質は、今までの学校教育とは全く違ったものであることは理解いただけましたでしょうか。
簡単に教えるべきページが増えただけではありません。
今までと違った教え方をしなければいけないため、先生方もとても大変かと思います。
保護者の視点からしたら不安に思うかもしれませんが、長い目で子供の学習内容を見守ることが大事です。
実際に何を教えるのか
実は、明確なカリキュラムが決まっているわけではありません。
決まっていることは、
「現在行っている各教科の中で、各校で決めたプログラミング教育を行なっていくこと」
これもまた先生への負担増が容易に予想できるでしょう。
プログラミング教育が不安な皆様へ
2020年からプログラミング教育の必修化が始まりますが、しっかりと準備できているという学校はまだ多くないと聞きます。
特に、プログラミング教育の進め方は学校ごとに決めることですので、学校ごとに内容に大きな差が出ることも考えられます。
公文式のような塾があるように、プログラミングにも子供向けの教室がたくさんあります。
この先、このようなプログラミング教室がどんどん活発になっていくかもしれませんね。