先日6月2日は「開港記念日」でした。これは横浜港の開港を祝う記念日で、横浜市立の学校はお休みになります。(一時違ったようでびっくりしましたが)
筆者は横浜育ちで、人生の半分近くを横浜市で過ごしてきました。
そして常々思っていたことがあります。
それは。
「横浜市民、横浜が好きすぎる問題」
横浜出身の我が旧友たちは、かなりの高確率で横浜に居を構えています。
大半は、結婚して違う区に住んでいるのだけど、でも横浜市なのです。
社会人になって早々に通勤が辛すぎて引っ越しを計画した私には何故なのかわからないのです。
筆者が横浜をあまりオススメしない理由
さすがに日本でも知名度が高いであろう都市、横浜をただ感覚だけでディスってしまうと宜しくないので、何故あまりオススメしないか思うところを説明したいと思います。
1.中学校に給食がない(ただし令和8年より開始予定らしい)
小中学校で給食がある自治体は結構多いと思うのですが、横浜市はずっと中学校に給食がありませんでした。数十年前からずっとです。
他人のことをスルーできない年頃の中学時代に給食が無いと起こるのが「お弁当品評会」です。私はやり玉には挙げられませんでしたが「毎日おかずが同じ」と揶揄されているクラスメイトがいてとても嫌な気持ちになりました。
しかし、ついに令和8年度(2026年度)からデリバリー式のお弁当給食が実施されるいう話を聞きました。
やっとお昼に温かいご飯が、と言われているようですが、どうしても他との遅れは感じます。
筆者が住んでいる自治体は食育が重視されていて、学校内で給食を作っています。
子供が家では美味しくないと言って食べない食材も、美味しく調理してくれています。
その溝が埋まる日は来るのでしょうか。
2.坂が多い
横浜に住んだことがある人ならほぼわかると思います。
横浜はとにかく坂が多いです。自転車の敵です。
探せば平地なところも無くはないですが、本当に「無くはない」程度です。
坂ならまだましです。山なこともあります。なんならマムシ注意です。
駅徒歩10分、それは嘘ではないけれど上って下って大忙し。スーパーは駅前にあるけれど、疲れていると重たい食材持ってあの坂は上りたくない、なんて場所もありました。
3.通勤が大変なところが多い
横浜市の住民は東京で仕事する人が多いです。
つまり、電車に乗るとだいたい終点まで降りません。東急線(東横線、田園都市線)の混み具合は、東京で仕事している方には割と有名なのではないかと思います。
もちろん帰る時もずっと電車が混んでいます。始発を狙うと凄く待ちます。だったら立って我慢するか、と思う程度に。
「もっと遠い人いるじゃん」「新宿発電車の西側住まいを舐めるな」
……そのへんも理解しています。でも、横浜2区、東京1市3区に住んだ経験がある筆者的には一番辛かったのが「40~50分乗りっぱなしの横浜市」でした。
4.買い物が意外と不便
中都市だと「買い物は主要駅前のエリアでだいたい揃う」というのがあると思います。
しかし横浜はというと「日本のサグラダファミリア」と名高く巨大な横浜駅を中心に色々な店がばらけています。まず出口に行くだけで相当歩きます。西口側のお店から東口側のお店に行くと、移動だけでクタクタです。
駅から遠すぎた東急ハンズが駅近く(もちろん、出口まで結構歩く)に移転したとはいえ、たぶんあの不便さは構造上改善するのが難しいでしょう。
では、何故横浜なのか
上記の理由で筆者は横浜に住むのをやめたわけですが、横浜市で生まれ育った人たちは
「横浜市以外に住む気が無い」
という言動をする人が多いと感じていました。口に出して言っていなくても、配偶者が横浜出身じゃないのに同じ横浜市に居を構える人が多いということは、結構な割合で「横浜推し」が多いのだろうと推測できます。いったい何故なのか。
個人的に筆者が
これってもしかして刷り込みでは?
と思っていることがあります。それは横浜市歌です。
横浜市に育つと、小学生の時から横浜市歌を習います。
これはどの地域でもやっていることだと思います。
しかし、横浜市歌は異様に定着率が高いのです。
このサイトによると
横浜市歌が歌える「横浜市民」は約43%だが、「横浜育ち」であれば約86%が歌える!
https://hamarepo.com/story.php?page_no=0&story_id=320
とのこと。
前述のように横浜市の他東京1市3区に住んだ経験があり、今も某区に在住している筆者ですが、自分の住んでいるところの区歌は知らないし、以前住んでいたところの歌ももちろん知りません。
横浜市歌以外。
校歌は小学校以外あまり覚えていませんが、横浜市歌は何故かすらすら歌えます。
これは子供時代を過ごした場所によるのでは、と思い、現役小学生の子供に聞いてみたのですが、
「(区歌は)音楽の授業で習ったけど、正直覚えていない」
という答えだったのです。
そこまで執拗に歌わされたわけでもないのに、横浜市歌は忘れられないのです。
もしかしたらここに無意識の「横浜推し」が醸成される理由があるのでは?
横浜市歌の魅力
何故横浜市歌を覚えているのか。昔習った人たちも年を取ってからも歌えるのか。
それはやはり
横浜市歌が魅力的
ということではないかと思うのです。曲にも歌詞にも抗いがたい魅力を感じるのです。
そこまで書いたのだから聴いていただきたいのですが、一度聴けば伝わるか?という自信はちょっと無いです……。
最初をご覧いただくとわかるのですが、作詞はあの森鴎外(森林太郎)です。
歌詞は現代語ではなく、学校で訳も習うのですが、凄い歌詞です。
わが日の本は島国よ 朝日かがよう海に
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/gaiyo/shika/sika.html
連りそばだつ島々なれば あらゆる国より舟こそ通え
されば港の数多かれど この横浜にまさるあらめや
むかし思えば とま屋の煙 ちらりほらりと立てりしところ
今はもも舟もも千舟 泊るところぞ見よや
果なく栄えて行くらんみ代を 飾る宝も入りくる港
「日本って島国だから色々な国から船が来るよね。港もたくさんあるけど、この横浜港が一番!
昔の横浜は粗末な家が建つ寂しいところだったのに、見てみて!今はたくさんの船が行き来するようになったよ!これからもずっと栄えていくだろうね!」
相当適当に訳してみましたが「市歌」という割には横浜港のことしか言っていなかったりします。元々は「横浜港の開港50周年記念祝祭」のために作られた歌だったんですね。しかしスケールが大きい。言葉のリズム感も良いです。
他の自分が住んでいた自治体の歌も念のため調べてみたのですが「わがまち○○」みたいなものが多いようです。横浜でもその手の歌を聴いた記憶があるのですが(調べたけど出てこなかった)あれだと仮に覚えていても歌わない気がします。
横浜市歌の「刷り込み疑惑」については先ほどのサイトで調査していましたが、結局のところ「大人になっても歌唱に耐える曲なのか」というのも大きそうな気がしてきました。
おわりに
決して住みやすいとは思えないのに横浜市民が横浜にこだわるのは一種の「刷り込み」ではないか?という観点から横浜の魅力を探ってきましたが、既に人生の半分は別のところで暮らしている筆者が何故かこだわりたくなってしまうのも「横浜の魅力」と言えるのかもしれません。
本当に不思議な街ですが、興味を持った先は沼かもしれませんのでご注意くださいませ。