2020年からプログラミング教育がスタートしますね。
今回は、プログラミング教育に関係しそうな単語をいくつか紹介します。
プログラミング学習と一緒に紹介されたり、同じものとして紹介されている場合もありますので、この機会に違いを理解してみてください。
ICT教育
ICT教育とは、パソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育手法を指します。
ICTはInformation and Communication technologyの略で、日本語に直すと「情報通信技術」となります。
2020年からスタートするプログラミング教育の必修化と言われる前から、
PCまたはタブレットを活用する授業を行っている小学校や中学校は存在しました。
実際に、小学校にパソコンが導入されていた30代の方もいたのではないでしょうか。
ICT教育という単語を最近初めて聞いた方も多いと思われますが、
実は20年ほど前からICTに関する教育はスタートしているのです。
ICT教育のルーツは平成2年
実は、初めて情報技術に関する手引書である「情報教育の手引き」が作成されたのが平成2年でした。
その後、様々な変更が加えられ、平成22年に「教育の情報化に関する手引」が作成されました。
2020年からするとほぼ10年前です。
プログラミング教育とICT教育は一緒?
プログラミング教育は「プログラミング”的思考”」を育てるということになりますので、PCやタブレットを使用することが必須とはされていませんので、電子機器を全く使わずにプログラミング教育を進める学校もあるかもしれません。
必ずしもプログラミング教育とICT教育はイコールではありません。
しかしながら、ICT教育の一環としてPCやタブレットを使っている学校であれば、スムーズに利用することがあるでしょう。
結論
ICT教育とプログラミング教育はイコールではない。
しかし、並行して一緒に行われるべき教育であることは確か。
プログラミングスクール
皆様は、子供向けに行われているプログラミング教室を見かけたことはありますでしょうか。
例として、以下のようなコースを設置しているスクールが多いかと思います。
- マインクラフトを使ったプログラミング
- Scratch(スクラッチ)を使ったゲーム作成
- ロボットを動かしてみよう
これらのスクールでは、「プログラミング」を教えてくれます。
となると、このようなスクールは「プログラミング教育」を教えてくれる塾のようなポジションなのでしょうか。
そもそも、「プログラミング」とは手段である
一般的に、プログラミングに対して難しいイメージが強いかと思います。
もちろん、皆様が普段使用しているようなアプリや、スマートフォン向けのゲームといったものを作るのはとても難しいです。
しかしながら、プログラミングというものはあまり難しく考える必要はありません。
プログラミングとは、とても簡単にいうと
「コンピュータが取り扱える”命令”をつなげる」
というだけなのです。
ただの「足し算」も命令ですし、ロボットに「走り出して」というのも命令です。
スクールが教えるのは「プログラミング」という手段
プログラミングスクールでは、実際に「プログラミング」というものを教えてくれます。
例えば、走行する車タイプのロボットを動かすのであれば、以下のような”命令”があります。
- 右の車輪を動かす方法
- 左の車輪を動かす方法
それに対して、子供たちはその”命令”を使ってロボットをどう動かすか?
ということを考えていきます。
さて、プログラミング教育の手引きでも、やはりこの「考える力」を育むことに意味があります。
つまり、プログラミングスクールでも「プログラミング的思考」を育てるということにつながります。
結局どう違うのか
やはり、「プログラミング」という名前がついている以上、同じようなことを教えることに間違いはありません。
しかしながら、子供たちがプログラミング的思考を身に着けるためのアプローチが少し異なります。
学校では既存の学習要項からプログラミング的思考を身に着ける
学校の授業で実施されるプログラミング教育では、「プログラミング」という科目は存在せず、国数理社といった一般教科の中からプログラミング的思考を学んでいくことになります。
学校の勉強内容を教材として扱いますし、先生もその道のプロではありませんので四苦八苦しながら進められるであろうことが容易に想像できます。
子供としてはあまり楽しくないかもしれません。
スクールでは非日常のテーマから「プログラミング」の楽しさを教えてくれる
プログラミングスクールでは、ゲームといったテーマを使って「楽しく」プログラミングを教えてくれます。
やはり、子供としても楽しく覚えられた方が良いでしょう。
そこから実際のプログラミングを通してプログラミング的な思考を身に着けることができることができるかもしれません。
プログラミング教育の動きに応じた新しいコースがたくさん出てくることも予想ができます。
結論
学校の授業に対する予習・復習の場にはならない。
しかしながら、間接的に子供の成績アップに繋がる可能性アリ。
STEM/STEAM教育
STEM教育は、Science(科学), Technology(技術), Engineering(工学) and Mathematics(数学)の頭文字から成り立つ単語で、
STEAM教育はそれにArt(芸術)を足したものになります。
元は米国でスタートした教育モデルであり、日本のICT教育に近いものになります。
似た概念ではあるものの、もっと高等なもの
ICT教育は「情報通信機器を使いこなせること」を目的とし、
プログラミング教育は「考える力を育むこと」を目的としています。
それに対し、STEAM教育ではもっと本格的な「情報技術」に触れること、そして使いこなすことを目的としています。
AIに仕事を奪われる?
皆様は「10年後に仕事を奪われる」という話を聞いたことがありますでしょうか。
確かにその通りで、AIに関係なく技術の進歩に伴い不要となった業種もあります。
AIの登場によって、「誰でもできる仕事」がどんどん減っていきます。
おそらくすぐにゼロにはなりませんが、10人必要だった仕事が5人で済むようにはなります。
そんな10年後を見据えても、「クリエイティブ」な領域ができる人材が仕事を失うことはないでしょう。
STEMにA(Art)を追加したのもそのようなことが絡んでいるのでしょう。
ここでいう「クリエイティブ」とは、単に絵を書くことではなく、
「何かしらの新しいモノを作る」ということです。
新しい事に挑戦できる人材がこの先どんどん求められる事でしょう。
STEAM教育をサポートしたおもちゃ
実は、STEAM教育をうたったおもちゃが日本でも色々と発売されています。
タブレット型のおもちゃや、PCの形をしたキャラクター付きのおもちゃが多数発売されています。
1万円〜2万円程度で購入されるものが多く、小学校に入るお子様の入学祝いや進級祝いなどとしても好まれているようです。
結論
ICTとプログラミング教育の上位互換のような存在。
プログラミング教育は、このSTEAM教育をするための第一歩とも言えるでしょう。
GIGAスクール構想
プログラミング教育に並んで、2020年に入ってからよくこの単語を聞く方は多いのではないでしょうか。
GIGAスクール構想は、端的にいうと「全ての児童・生徒に対して1台づつの情報通信端末(PCやタブレットなど)と高速インターネットを提供しよう、というもので、2019年に閣議決定されました。
ちなみに、GIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、
和訳すると、「全ての子供にグローバルかつイノベーティブな手段を提供する」というような意味になるのでしょうか。
もっと言ってしまえば、「全ての学校に対してICT教育を推進する」ということなのでしょう。
GIGAスクール構想の要件
文部科学省が発表した標準仕様書によると、ある程度細かいパソコンの仕様が提示されています。
- Celeronかそれ以上の2016年8月以上に発表されたCPU
- 4GB以上のメモリ
- 64GB以上のストレージ
- タッチパネルディスプレイ
- LTE通信(削除可)
- これを約5万程度で提供する
この掲示を受け、マイクロソフトをはじめとする各社は、それぞれで個性的な端末を発表しています。
2019年末に発表された内容である上に、これから始まる施策であることから、ご自身のお子様が通う学校または自治体の動きに注目していく必要があります。
GIGAスクール構想が実現したらどうなる?
GIGAスクール構想が進むことにより、全ての児童・生徒に対して一定水準以上のICT教育が実現できることになります。
全員に配られるということは、パソコンを用いた授業を標準化できることができます。
つまり、2020に始まるプログラミング教育の教育内容がさらに強化されることが予想されます。
その結果、先述のSTEAM教育のような「本当のプログラミング教育」が始まるかもしれません。
結論
GIGAスクール構想は日本の子供の教育に絶対必要な施策。
あと何年かかるのかは分かりませんが、少しでも早い実現を祈るばかりです。
さいごに
プログラミング教育に関係しそうな単語を4つ解説しました。
2020年のプログラミング教育必修化の先にあるGIGAスクール構想。
2021年のさらに先、学校教育にもどんどん変革が起きていくのだと思います。
学校の先生の負担増が予想されますが、長い目で見守っていくことが大事です。
間違っても「うちの学校はどうなっているんですか?」なんてプレッシャーをかけないであげてくださいね。